美容と健康に e-スーパー健康野菜

① 人体で細胞分裂の盛んな組織
 人体内で細胞分裂の盛んな組織は、免疫細胞、腸の内壁細胞、味覚細胞、皮膚、精巣などである。これらの細胞は数日から1ヶ月のサイクルで分裂を繰り返し、新しい細胞に置き換わる。そのため、細胞分裂に必要な成分が十分に供給されないと、分裂速度が低下し、健康に支障を来す。

② 細胞分裂を支える野菜成分
・葉酸
 葉酸(ビタミンB9)はDNA, RNA の塩基の合成に必須であり、葉酸が欠乏すると細胞分裂に支障が出る。葉酸の活性型であるテトラヒドロ葉酸は、光合成の代謝系である光呼吸経路に関与しているので、緑色の葉に多く含まれている。特に、e-スーパー健康野菜ではテトラヒドロ葉酸含量が、通常の野菜よりも数倍増強されているので、効率よく摂取できる。

・マグネシウム
 マグネシウムは、細胞分裂時に働く DNA Polymerase の活性中心に2個必要であり、100% の活性を出すためには細胞内に比較的高濃度のマグネシウムが必要である。通常の野菜ではマグネシウム含量は多くないが(コマツナ 12 mg/100g 生重)、e-スーパー健康野菜では数倍〜10倍高い(図1)

・亜鉛
 亜鉛は細胞分裂後の遺伝子の発現調節に重要な機能を有しており、人体内では分裂活性の高い組織(精巣)に多く含まれている。日本の土壌には亜鉛が少ないので、露地野菜の亜鉛含量は非常に低い。そのため、露地野菜のみでは亜鉛欠乏となる。e-スーパー健康野菜では亜鉛を増強しており、通常野菜の数倍〜10数倍多く含まれている。

③ ビタミンCはコラーゲンの生成に必須
 ビタミンCは代表的な抗酸化成分であるが、抗酸化作用の他にコラーゲンの生成に必須である。コラーゲンは前駆体タンパク質が合成された後重合化するが、この重合化にビタミンCが必要である(図2)。コラーゲンは、人の皮膚や靭帯、骨、軟骨、血管、角膜などの体のあらゆる組織を構成している。皮膚(肌)は、表皮と真皮という層で構成されおり、真皮は、表皮の内側で肌のハリや弾力を保ち、維持する役割がある。この真皮の約70%を構成している成分がコラーゲンであり、肌の美容に大きな役割がある。e-スーパー健康野菜ではビタミンCを増強しており、通常野菜の数倍〜10数倍多く含まれている。

④ カロチノイドは紫外線から身体を守る
 カロチノイドのうち、βーカロチンは半分に切断されるとビタミンAになり、主に視覚細胞で光や色の識別に働く。ビタミンAの供給源のほかに、吸収されたカロチノイドのまま、網膜や皮膚において紫外線の傷害から細胞を守る働きがある。植物においても、カロチノイドは光合成の補助色素として機能する以外に、強光から光合成組織を守る機能がある。e-スーパー健康野菜では、酸化ストレスを与える際に、抗酸化成分(ORAC値で測定できる成分)のほか、カロチノイド量も増加している(図40参照)。

⑤ 細胞の老化を防ぐビタミンB群とグルタチオン
 体内で活性酸素が発生したとき、SOD
で生成した過酸化水素は、還元型グルタチオンで水に分解される。グルタチオンはシステインを含む低分子化合物である。グルタチオンは還元型と酸化型とがあり、過酸化水素に作用した還元型グルタチオンは酸化型になる。酸化型グルタチオンは、糖が分解する過程で生成するビタミンB群の還元作用で、還元型グルタチオンに戻される。したがって、細胞内の還元状態を保持するためには、グルタチオンは還元状態を維持する必要があり、その還元力の源は糖である。そのため、食事において糖質を制限しすぎると、細胞内の還元状態を維持できなくなり、その結果細胞の老化が進行する。
 また、ビタミンB3(ナイアシン)には細胞内の老化を阻止し、若返らせる効果のあることも報告されている。ビタミンB3の成分であるNMN(nicotinamide mono
nucleotide)は、生後22ヶ月(ヒトでは60歳)のマウスに1週間投与したら、細胞が生後6ヶ月(同20歳)の状態に若返った(今井眞一郎 2011)。e-スーパー健康野菜ではビタミンB3が約3倍に増強されている(図46 参照)。

⑥ 食物繊維と腸内細菌
 美容と健康の維持にとって、腸内細菌の活動は重要である。食物繊維は腸内細菌のエサである。まず、食物繊維は便通に必要不可欠である。食物繊維の摂取が少ないと、便秘がおこり、美容と健康に大きく影響する。また、腸内細菌の活動により生成した乳酸や酪酸などの短鎖脂肪酸は、悪玉菌の増殖を抑え善玉菌の増殖を促進する。短鎖脂肪酸は、アレルギーなど免疫系の暴走を抑制する制御性T-レグ細胞の増殖を促進する。
 さらに、腸内細菌は肥満にも影響することが分かっている。痩せと肥満の双子の姉妹の便を無菌マウスに便移植すると、肥満の人の便を移植されたマウスが肥満になったとの報告がある(Gordon et al. 2013)。
 食物繊維の摂取基準が改定され(2015年)、男性は1日20g、女性は18g となっているが、60歳以下の世代で平均して6〜7割しか摂取していないことが判明している。

図1 e-スーパー健康野菜はミネラルが豊富 「健康野菜・けいはん菜」はe-スーパー健康野菜の旧名称。
図2 コラーゲンの生成にはビタミンCが必要